スイートハニーは誰?-4
「だめだって!」
真宏の口を手のひらで塞いだ。
口を塞がれた真宏は、ぱちっと目を開いて俺をじっと見つめてくる。
「おま......っ俺と、仲直り......する気ねえの、かよっ」
そりゃ絶交なんて言い出したのは俺だけど、そんな急に態度変えられたって、俺......。
俺の潤んだ瞳を見た真宏は、ふっと俺の手に息を吹きかけた。
ため息だと気づくこともなく、強く手首を掴まれて外される。
「あ......」
キスされる。
ぎゅっと目を閉じた俺は真宏の接触を待った。
だけど。
こつんと触れた軽い感触は唇じゃなくて額だった。
おそるおそる目を開くと、真宏の優しげな瞳が見える。
「絶交取り消すだろ」
断言するように言われたことで、真宏が結構怒ってることに気づいた。
「うん。.........ごめん」
「よし」
同い年なのに、ぽんぽんと頭をなでられる。
いつもならガキ扱いするなと怒るところだが、今はそれどころじゃない。
ほっと安堵して俺は真宏に笑顔を向けた。
「これ、食べていい?」
「ああ」
「テーブル出そうぜ。これじゃ食べにくいだろ?」
「いや、面倒だからこのままでいいだろう。ほら」
真宏は持ってきた箸を俺に手渡してくれた。現金なもので安心すると腹が空いていたことを思い出す。
俺は達樹じゃないから人の上に座っても落ち着かない。
真宏というイスは座りにくい。けど目の前の野菜炒めの魅力に勝てずにそのまま食べ始めた。
真宏の腕は俺の腹に周り、肩に顔を乗せてくる。
「お前ばっかり食べてないで、食わせろ悟」
「やだよ。自分で食え」
「箸一本しか取ってきてない」
「めんどくせえな......」
俺はしぶしぶ真宏の口に摘んだ野菜を近づける。口を開いてもぐもぐと咀嚼する様は雛のようで可愛い。
野菜は真宏に食べさせて肉は俺が食べていたら、それに不満を持った真宏に催促された。
「肉食わせろ」
「お前にやる肉はねえ!野菜食え野菜!」
「じゃあこれでも食うか」
「これって、......っあああ?!」
がぶっと。がぶっと首筋に噛みつかれた。
じゃれついているだけだから痛くはないけど、やっぱ急所を噛まれるのは本能的に身が竦む。
「離せ!」
「じゃ食わせろ」
「やだよばーか!」
いいようにされるのが悔しくて、無視して皿を抱えて口に詰め込んでいると、真宏の手が俺の腹から下にずれた。
ベルトを外されてジッパーを下ろされる。あっというまに俺の大事な息子が露わにされた。
ぎゃあああ!なにしてんだ馬鹿ー!
「っこら真宏!」
「皿落とすなよ」
大きな手が、ソコを包んで上下にしごき始める。
右手には箸、左手には皿を持っている俺は抵抗しようにもできない。
真宏の膝の上でもじもじと腰を揺するだけだ。
......ホント、やば......ッ!
手淫は巧みで、じんわりする快感に流され初めてしまう。
上下に動かしながらタマを揉み込まれると、がくがくと腰が震えた
「っや......まひろ......ぉ」
「凄い濡れてるぞ」
「ん、んっ......あ、ん」
水音がクチャクチャうるさい。だんだんしごくスピードが速くなってくる。
俺をイかせるつもりだ。
「だめ......っあぅ、あっ、あああ......っ!!」
仰け反って真宏に寄りかかりながら、俺はあっさり達してしまった。
二、三度精液を吹き上げたところで身体から力が抜けていく。
「おっと」
真宏は俺の手から離れかけた皿を取り上げて、机に置いた。
それを見て俺も皿と箸を置いておけば良かったのだと気づく。
快感の余韻に浸ったままじろりと真宏をにらむと、ヤツはティッシュで手を拭っているところだった。
何で濡れたのか、考えたくもない。
俺の視線に気付いた真宏は、軽く口元に笑みを浮かべる。
「もっとするか?」
「ちげえよ!なにしてんだよお前!」
そう俺が噛みつくと真宏は涼しい顔で肩をすくめた
「俺の飯の邪魔をしたお前が悪い。ほら、降りろよ」
「っひゃ......!」
出しっぱなしだったチンポを指で弾かれて、俺は飛び降りた。
真宏は素知らぬ顔で俺の野菜炒めを食べている。
くっそー......いつかぎゃふんと言わせてやる!
ぎりぎりと歯を食いしばる俺は、何で悩んでいたかすっかり忘れていた。