そのうち1-01

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 初めてソコを肉に食まれた感触というのは、想像以上のものだった。
「ッ、う......」
 受け入れることは慣れていない博也が小さく呻く。
 それもそうだ。春樹も慣れない状態での挿入は、いくら慣らしてあっても辛いものだった。
 だが、それを教訓に博也の蕾はこれでも丁寧に解したつもりだった。
 優しく丁寧に。けして無理に押し広げることはせずに。
「む、むり......春樹、むりだ。はいんねえよ」
 仰向けになって泣き言を言う博也の顔は、本人の腕に阻まれて見えない。
 顔が見たい。そう思った春樹は、博也の腕を掴んで押しのけた。
 博也は見られたくなかったのだろうが、春樹がマウントポジションを取っている以上抵抗は容易にはできない。
 さらに、身体の中心は繋がったままだ。
 うっすらと涙を浮かべ、だがそれを堪えようと唇を噛む仕草は春樹の心にじわりと来た。
「う、ごいていいか?」
 はあ、と熱い息を吐いて見つめると、博也の頬が引きつった。
「無理って言ってる......ッあ、だめ、はるきっ!」
 悲鳴のような声を聞いても、春樹は動きを止められなかった。
 数分前まで童貞だった男だ。心地よい孔に刺激されて動かずにはいれない。
 きつく締め上げてくる蕾は痛いぐらいだが、その刺激がたまらなく良い。
「あ......あぅ!......んっ、っは、ああ、っあん......はる、ぅ......っきぃ......!」
「はぁ、っは......っは」
 滑らかに筋肉のついた腰を掴み、自分の腰を打ち付ける。
 博也は仰け反ったり身を捩ったりして、春樹の責めから逃れようとするが、そんな抵抗も春樹の心情を燃え上がらせるだけだ。
 こりっとした小さな粒を先端で擦り、奥を揺するように突き上げると博也は痛んだ長めの髪を乱す。
 力なく勃起する博也のペニス。反応は鈍いように見えて、とぷっと先走りを溢れさせる。
 前立腺の刺激で勃起すると、こうなるのは自分の体で体験済みだ。
 硬く反り返るのではなく、緩く勃つ。でも快感はどちらもある。
「っ、やぁ!......やだ!やめっ...あっ!......へんっ、やめろって、言ってんだ、ろ......?!」
「何がだ」
「だめ、だっ......はる、そこ......変だから、や......ッあん!......んんっ......ん~......ッ」
 突き上げようとする春樹の腹を片手でぐいぐい押す。けれど、力が入ってない。
 それから漏れる声が嫌なのか、博也は手を噛んで声を封じ込めてしまった。
 涙を零して潤む瞳で見上げられ、春樹は快感を追いたい本能に対してストップを掛ける。
「......悪い。大丈夫か?」
 濡れた頬を手の平で優しく撫でて、春樹は頬や唇に優しくキスをする。
「声を聞かせてくれ博也。お前の声が聞きたい」
 手を噛み締めていた博也に囁く。
 春樹に自覚はないが、それは酷く甘く博也の鼓膜に響いた。
 さっと顔を赤く染め上げて、博也は春樹をねめつける。
「っう......てめ、なんだよ本当は童貞じゃねえんだろ」
「どうしてそう思うんだ」
「......なんか、手馴れてる」
 拗ねて嫌そうに呟いた博也に、春樹はふわりと口元を緩める。
「何笑ってんだ、ああ?」
 博也はドスの聞いた声を出すが、体勢のせいで覇気はあまり感じられない。
「俺が手馴れてるように思えるのは、博也が俺を抱いてるからだ。俺はお前の真似をしてるだけ」
「......」
 言いたいことは手管ではなく、ピロートークの方なのだが、それを口にするのは博也の癪に障る。
 ぷいっと顔を背けてしまった博也に、春樹はぶるりと身体を震わせた。
 博也の両手を握ると、視線を合わせぬまま握り返してくる。
 それが嬉しくて、春樹はキスを仕掛けながら律動を再開した。
「ッ!っあ!っあん、あっ!やっ、こえ、でるっ!」
 突き上げるたびに声を上げる博也は、春樹の手を離して手で口を塞ぎたいが、しっかりと握られて離すことが出来ない。
「いい声だと思う。もっと聞かせて欲しい」
「っばか、この、ばかあ!」
「ッ」
 怒鳴った瞬間、柔らかな孔の中がうねる様に締め付けてくる。
「博也......!」
「ひぅっ......あ!」
 手を離した春樹に強く抱き締められて、最後はがつがつと突き上げられる。
 縋るように博也も春樹の背に手を回して抱きついた。
 柔らかく締め付ける博也の中で、春樹のモノは絶頂にビクビクと震えた。
 どくどくと吐き出される精液が、コンドームの中に溜まっていく。
 春樹は動きを止めて余韻に浸った。
 強く抱き締めたままでいると、博也に軽く背中を叩かれる。
「は、はは......受ける側って、マジきつ......」
 はっとして博也を見ると、博也が髪をかき上げて苦笑していた。
 春樹が最後は自分の欲情を優先してしまったため、博也は達していない。
「博也、俺」
「ちょい、休憩。俺、水飲みたい水」
 焦った春樹を制止、博也はぼやいて身体を捩ると、サイドデッキに乗せてあったミネラルウォーターに手を伸ばす。
 その拍子に、ずるりと春樹のものが博也の体内から抜けた。
 性器を擦るその感覚に、春樹はぞくりとしたものを感じる。
「......っふ」
 博也も刺激を受けたのか小さく息を漏らして、ペットボトルに口を付けた。
 滑らかな背中を逸らし、薄く肉のついた尻を晒す博也。
 今の今まで春樹のモノを受け入れていたところは陰になって見えない。
 だが、それがより春樹の欲情に火をつけた。
 もう一度、アソコに入れたい。
「俺、お前にもっと優しくするわ」
 春樹がまるで肉食獣のような眼差しで見つめていることなど気づきもしないで、博也はペットボトルを傾けながらそんなことを口にした。
 恋人の裸体に、精を吐き出したはずのペニスがゆるりと勃ち上がる。
 春樹は自分自身の身体の反応を見て、使用済みのコンドームを外した。
「入れんの気持ちいいけどさー、こんなに負担がかかるんならそう何度も、しないよう......に......」
 苦笑しながら身体を捻って春樹を見た博也は、口を薄く開けたままフリーズした。
 普段はキラキラと輝く瞳に怯えの色が走る。
 身を竦めた様子の博也の心情を十分に理解しながら、春樹は目の前で新しいゴムをつけた。
「はる、」
「俺もわかった。お前が俺に入れるときは、嫌がらずに受け入れるようにする」
 春樹の言葉に、博也の喉がひゅっと音を立てる。
 こんなに気持ちがいいのなら、もっとしたいと思っても仕方がない。
 春樹は真面目にそう思いながら、逃げる博也の腰を掴んだ。
 力強く引き寄せた春樹は、博也の尻をぐいっと手で押し開き亀頭を押し付ける。

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