インナモラートの微熱5度03

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 たっぷりと唇で愛撫されている間は、服の中に入り込んだ指が悪戯をする。
 かりかりと引っかかれ、刺激で硬くしこった乳首を摘んで転がされた。
「あっ......っはは、あ......俺、無理だって。マジくすぐったい」
 キスの合間に身を捩って訴える渉に、清水は笑うだけで刺激を弱めようとしない。
「ここも性感帯なんだ。渉はどこも敏感だから、きっと良くなる」
「やだよんなの。服に擦れたら痛いって」
「絆創膏で隠せばいい」
「変態なこと言うなよな」
 唇を尖らせて軽く睨むと、清水は突起に爪を立てた。
 痛みにびくっと跳ねる。
「やっ......おま、痛いのやだって」
「痛くない痛くない」
 子供をあやすように言われて、渉は口をへの字に曲げる。
 でも弄るその指を振り払うことはしなかった。
「ん......」
 どさっとベッドに押し倒され、マウントポジションを取った清水が上から見下ろしてくる。
 餌を目の前にした上機嫌な獣のようだ。
 抱き合う時の清水の表情は、普段の明るく優しいなりが潜め、強引さが前面に押し出されたものになる。
 弧を描く口元のホクロが、よりいっそういやらしく見える顔だ。
 そんな清水の指が渉の服を剥いでいく。
 露になった渉の肌には、いくつもの赤い鬱血がついていた。
 渉が嫌がっても有無を言わさずつけられ、薄くなっても重ねられるので渉はもう諦めている。
「いっ......」
 今日もまたちゅっちゅと肌に吸い付き、キスマークを散らしたところで、乳首を口に含まれて噛まれた。
 それほど力を込めていないのだろうが、八重歯で噛まれるとやっぱり痛い。
「いてっ、あ、痛いって。むつみっ」
「ふふ......ごめんね。君が可愛くて」
 人好きのする笑顔を向けてくるが、これが曲者だ。
 清水は制服の上着を脱いで向きを変えると、渉の顔を跨ぐようにして膝立ちになる。
 渉の目には逆さになった笑顔が見えた。
 その状態で清水がベルトを緩めてスラックスの前を寛げると、まだ平静の状態の自分自身を取り出して渉の口に押し当てた。
「舐めて」
「......ぁ、むっ」
 渉が控えめに口を開くと、先端を捻りこまれた。
 口も顎も小さい渉は、その苦しさに眉間に皺を寄せる。
「腰上げて」
 咥えさせながら清水が這うと、ソコには渉の下肢がある。
 少し浮かせた腰から服を手際よく脱がしていきながら、清水は喉に擦り付けるように腰を揺すった。
「んっ、ん、んぐ、ぅ」
 苦しさで舌が動き回るのが、イイらしい。
 歯を立てないように懸命に受け入れていると、下半身が急にひやっとした。
 視界には自分が太く育てた陰茎が映るばかりでどうなっているのかわからないが、ぐちゅぐちゅと卑猥な音がする。
 手で扱かれているのだが、それにしては凄く濡れている。
 睾丸もむにゅりと揉まれて腰がうねった。
「膝立てて、開いて」
「ん、んぅ......」
「早く」
 パンッと足の付け根に近い太ももを叩かれる。
 痛くはないがその音の大きさに驚いて、渉は言われた通りに足を開いた。
 それでも「もっと」と注文をつけられる。
 また叩かれるのが嫌で、渉は足を開けるだけ開いた。
 足首で下着が絡んで、がに股のようになるのが恥ずかしかしいが、躊躇をしている余裕はなかった。
「んぐ、んっぶ、ぐ......っ」
「......っふ」
 完全に反り返ったもので、喉が圧迫される。
 えずきそうになるのを必死で堪えた。
 唾液が顎を伝い落ちて気持ち悪いが、拭うことも出来ない。
「んっ!」
 清水が蟻の門渡りと呼ばれる精巣の後側を刺激した。
 そこもぬるぬると滑っている。
 よくわからない液体は、そのまま重力に従って渉の後孔に垂れた。
「やらし......」
 片手で渉のペニスを扱きながら、指が渉のアナルをつつく。

 また、ソコ......ッ。

 逃げるように腰を左右に揺らすと、口の中のモノが大きくなった。
 先走りが濃くなって苦い。
 ぬるっと喉の奥に入り込んで涙が落ちる。
 胃液が競りあがりそうで、清水の太ももを叩きながら喉を震わせた。
「んっぐ、ぶ、はっ」
「あ、今のいい......出すよ」
「んぎゅ、ッ?!」
 止める間もなかった。
 独特の苦味のある液体が喉に流し込まれる。
 息ができなくて苦しくて、その白濁を飲み干す。
 するとようやく渉の口から性器が引き抜かれた。
「っが、ふ......っはあっ、はあっ」
 世の中の女は、凄い。こんな苦しいことを平気でやるなんて。
 そんなどこかずれたことを考えた。
 清水が常に平然と強いるから、渉は流されるままだ。
 口の端からだらりと精液を零す渉に構わず、清水は指を動かした。
 苦しさで強張っていた身体が、清水が達したことで呼吸が自由になり力が抜ける。
 その隙に指を差し入れられた。
 第一間接まで食むソコは、初めての侵入にきゅうきゅう締め付ける。
「あ、ああ......っや、むちゅ」
 酷使された顎と舌が上手く動かない。
 ずりずりと逃げようとする渉の腰を押さえ込む。
 涙を浮かべる渉のこめかみに、清水は優しく口付けた。
「だめ?ここに入りたい」
「う、っ......むり、はいらな......」
 小刻みに指を動かされた。
 指は濡れそぼっているためか痛くはないが、異物が入っている感覚が恐ろしい。
 身を竦めて首を横に振るだけの渉に、清水は明らかに落胆した様子を見せた。
「......そっか、残念」
 薄く微笑んだ清水がゆっくりと指を引き抜く。
 渉はあっさりと引いてくれたことにほっとして、大きく息を吐いた。だが、その瞬間を狙われた。
「ひっ?!」
 指を根元まで押し込まれて渉は目を見開く。
「今日はこの状態で、イければいいよ」
「む、つみ......」
「頑張って」
 優しくも拒否を許さない清水に、縋りつきながら二箇所を一緒を責められて、渉は掠れた嬌声を上げた。

 その後、ぐったりとベッドに横たわる渉を横目に、清水は淡々と服を身に付けていく。
 きっちりと服を着た清水がベッドに座って渉の髪を緩く梳いた。
「ご両親が来る前に、一人でシャワー浴びれる?」
「ん......」
「じゃあ、僕は帰るよ」
「......メシ、食べてかねえの......?」
 少し寂しそうに問う渉に清水は鮮やかに笑う。
 そんな表情を見るようになったのも最近だ。
 なんだか怖いのに目が離せない。
「帰るの遅くなるから、今日はもう帰るよ」
 清水は渉の額にキスを落として立ち上がった。
 渉は視線で追うが、起き上がって見送る元気はない。
「......」
「文化祭のことだけど、当日は一緒に見て回ろう。僕、当日は作業なしにしてもらったから、ずっと一緒にいれるんだ」
「俺、できるなら当日ちょっとでも手伝いた......」
「渉」
 控えめな願望を静かな声で遮られた。一度は離れた清水が戻ってきて頭を撫でる。
「僕がいるから。......ね?」
 手が優しくて渉はうっとりと目を閉じる。
「............ああ、そうだな......」
 穏やかに微笑む渉に、清水はすっと口元から笑みを消した。
 ひたむきに見つめて小さく呟く。
 「僕だけがいればいい」という言葉は、声が出ていないので渉は気づかなかった。
「じゃあまた明日」
 清水はあっさりと出て行った。
 残った渉はゆっくりと身体を起こす。
 足の間がべたべたして気持ち悪い。顔も早く洗いたかった。
 起き上がったあとのベッドを見てもぐしゃぐしゃで、シーツを変えなければ寝られないだろう。
 渉は肩を竦めながらシーツを剥ぎ取った。


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